命から生まれた、革。
故郷・青森県五戸町の
食用馬の残皮をアップサイクルして
国産の馬革をつくっています。
先月末に仕上がった革たちからは
動物の「生」を感じずにはいられませんでした。
-
走るときについた傷、
肉になるときについたナイフ痕、
腹をつけて寝るために荒れた面など。
日本のなめし工場でできたレザーは
「国産レザー」と呼ばれていますが、
実は、原皮のほとんどは海外から輸入しているそうです。
日本国内で狩られたり、食された動物の皮は
安定した集荷ルートがなく、
二次利用するのが難しい状況にあります。
実際、原皮倉庫やタンナーまで足を運び、
生臭さを感じながら、自分で確かめてきて解りました。
完全に国内だけで
安定したレザーをつくるための
道のりは長いと。
-
それでも、無駄にしたくない。
動物が「動」を失って「物」になるならば、
敬意を払って、命から生まれた革として
もう一度人の手でいい味わいに育ってほしいのです。
それに、かつて青森では、
馬革は白なめしされた素の状態で
ねぶたの大太鼓の膜に使われていたことや、
馬以外にも、犬・猫・狸などの
毛皮を纏っていたことも知りました。
-
「人」と「人以外の生命」の世界があるとしたら、
お互いに敬意を払いあえるような【五分】の関係。
生死や、終わり始まりが含まれた循環を意識したい。
アイヌやエミシの文化土壌や、
青森、北国の風土を感じられるブランドにしたい。
そう考えています。
これからこの革を活かした製品を考えていきます。
販売できる状態になるまでには
あと1年くらいかかりますが、
長い研究としてじっくりじっくり取り組んでいきます。